【社会を動かすための言葉】NPOのキャッチコピー事例7選

社会を動かすための言葉を、キャッチコピーから学ぼう

こんにちは。

ちょっと前のことですが、障がい者の支援をするNPO法人のキャッチコピーを書きました。コピーを考えるときには同じ業界の事例を探します。その時に気づいたのですが、NPOや福祉事業所のキャッチコピーは他の業界に比べてあまり数がありません。

キャッチコピーは目をひく言葉というだけでなく、人を動かすための道具です。自分自身、NPOで働いていたことがあって社会を良くしようと活動している人たちとたくさん出会ってきました。人の意識を変えて行動をうながしたいと考える人たちにとって、キャッチコピーはとても強い武器になるはず。そう考えてNPOで活動する人にキャッチコピーのことを知ってもらい、活動に役立ててほしいと思い書きました。

今回、キャッチコピーのパターンとポイントを整理してまとめています。最後に簡単なキャッチコピーの書き方もあるのでぜひ参考にしてください。

ではさっそくご紹介していきます。


1.ポジティブに変換

デザイン・クリエイティブセンター神戸 KIITO

KIITOは神戸市でクリエイティブな活動を展開する施設。キャッチコピーは、世界中の防災活動を紹介する「EARTH MANUAL PROJECT展」のものです。ネガティブをポジティブな事実に変換して希望がもてますね。


2.一歩踏みこんだ提案

認定NPO法人 グリーンバード

グリーンバードは「きれいな街は、人の心もきれいにする」をコンセプトに「街のそうじ」をしているNPO法人。原宿の表参道からプロジェクトが始まり、今や日本中でチームが活動しています。キャッチコピーは「ポイ捨てをやめよう」という提案ですが、ここでは「原宿救おう」ともう一歩踏みこんだ提案をしています。街を救うなんてちょっとしたヒーローみたいですよね。


3.パワーワード

神奈川県動物愛護協会


飼育放棄されたペットの保護活動や里親探し、動物愛護に関する啓発活動などをおこなっている協会です。「絶滅」というセンセーショナルなワードが目をひきますが、理解してみるとなるほどと納得します。また、「〇〇しますように」という祈るような言葉から、想いの強さが伝わってきます。


4.新しい問題提起

特定非営利活動法人地球緑化センター


地球環境の教育活動や森林ボランティア活動などをおこなっているNPOです。環境問題というと自然が被害者のように感じます。しかしキャッチコピーでは、私たちの子孫が被害者ではないかと発想の転換をしています。新しい着眼点の問題提起が考えさせられますよね。


5.当たり前をうたがう

NPO法人sopa.jp

学童保育による子育て支援や、NPO・企業・行政の垣根を超えた協働事業の支援などを中心に活動しているNPO法人です。学校を卒業して社会人になることが、入社することとほとんどイコールの時代。当たり前だと思っていたことを問いかけられ「はっ」としてしまうキャッチコピーです。このコピーは以下のように続いています。

いい学校を出て、いい会社に入る人が、
いい社会人なのでしょうか。
だとしたら、どこかさみしいと思うのです。
社会で働くということは、
世の中をより生きやすくしていくこと。

社会を変えていくのが、社会人だと思うから。

ひとり、ひとりの想いを集めて、

社会問題を解決していきたい。

わたしたちは、sopa.jpです。


6.当事者の視点から

認定NPO法人ノーベル

認定NPO法人ノーベルは病児保育を手がけています。キャッチコピーは利用者の子育てをしている親からの視点で書かれています。「平日は会社を休みづらい」という隠れた気持ちをすくい取り、同じ子育て世代に響きやすい言葉になっています。


7.名前を課題解決の手段にする

NPO法人キッズバレイ

群馬県桐生市で若者、子育て世代を支援し地域の活性化を目指しているNPO法人。「求人米あととりむすこ」は、キャッチコピーではなくお米の名前です。お米を購入すると実際に農業体験を味わえるようになっています。メーミングから抱えている社会課題を一緒に解決するための企画アイデアになっています。

簡単なキャッチコピーのつくり方

今回はなるべく様々なアイデアが混ざるようにキャッチコピーを集めてみました。これから先はおまけで、簡単なキャッチコピーの発想法について少し話したいと思います。

NPOでキャッチコピーを書くときは、社会課題についての提案が多いと思います。例えば「タバコのポイ捨てをやめよう」「食品ロスをなくそう」など。しかし、そのままの言葉ではなかなか見る人に響いてくれません。なぜなら見た人に発見がないからです。タバコのポイ捨てや食品ロスがダメだというのは誰でも知っている一般常識なのでそのままではスルーしてしまいます。ではどうやったら見る人がふり向く言葉になるのか。見る人にとっての発見をつくることで、興味をひくキャッチコピーになります。

例えばグリーンバードでは、「ポイ捨てをやめる」ことが「原宿を救う」ことにつながるという発見があります。「災害大国は、防災大国に、なれる。」にも、そういう考え方があるのかという発見がありますよね。今回ご紹介したどのキャッチコピーについても、何かのかたちで発見のある言葉になっています。

ここで試しに「食品ロスをなくそう運動」のキャッチコピーを考えてみました。

日本人は毎日、お茶碗一杯分の食べ物を捨てている。
世界の3分の1の食料が、ゴミになっている。

インターネットで食品ロスについて調べてみると、農林水産省のサイトにどれだけ食料が廃棄されているかが書かれていました。いずれも事実です。もっと日常に寄せた事実でキャッチコピーを書くと、

皮のむき過ぎも食品ロスと呼ばれています。

なども考えられます。

長くなりましたが、キャッチコピーは読んでほしい人にとって、どんな発見(事実)であれば興味をひくかを考えてみるといいと思います。活動している人にとっては当たり前のことでも、知らない人にとっては意外で興味をひく話題ということが多くあります。活動を紹介するときに驚かれる事実を、そのままキャッチコピーにしてみるのもいいかもしれません。